2012年10月10日水曜日


今回の日本地理学会秋季大会では,興味深い発表を2本聞くことができました。

1つは,プレート境界型地震の捉え方についてです。昨年の太平洋沖地震の見方が,ややもすると地球物理的なプレート運動に視点が集中しすぎていて,地形学的な視点が欠けているのではないかという指摘だったと思います。指摘されてみれば全くその通りで,今回の東北地方太平洋沖地震の研究発表やマスコミ報道では,プレートの跳ね上がりがどうしたとか,アスペリティがどうのとかといった,地球内部の内容に偏っていたかもしれません。海底断層の発見報道はありましたが,今回の震災では津波の被害が大きく地震の揺れによる被害が小さかったからでしょうか,私自身,関心は海水を持ち上げる巨大な作用力に向いてしまっていたかもしれません。これまでも海底地形には注意してきたつもりでしたが,海水を取っ払った,海底と陸地とを連続させた地形の変動(断層)として見ることも可能なのかもしれないと思いました。

ただ,近代科学がこれまで経験したことのない今回の巨大地震では,比較的新しい学問である地球物理学からの研究が急展開することは当然で,そこに注目が集まるのは,それが社会から求められている結果だと思います。

2つめは,ジオパークの実践と課題についてです。ジオパークは新しい観光形態ですが,それにしても,まだその定義は定まりません。近年,毎回のようにシンポジウムが組まれていますが,そのたびに微妙に異なります。今回は各地の学芸員の方たちが発表されましたが,さすがに永くエコツーリズムの実務に携われてこられた経験から,理想と現実とのギャップをどのように埋めてきたのか,また,新しい試みであるジオパークの課題について発表されていました。

これに関連して,私もエコツーリズムについてはそれなりに調べていたつもりでしたが,不覚にもエコミューゼについての検証が足りなかったことを自覚できました。箱物の博物館を脱し地域ぐるみで取り組むエコミューゼですが,地域と研究者との協働による運営の中で,専門性の担保をどう図るのかということを過小評価していました。また,エコミューゼにしてもジオツーリズムにしても究極は地域づくりであり,将来どのような地域でありたいのかという哲学を築くことがもっとも大切であるというコメントに勇気づけられました。地理学には,哲学に正面から取り組むことを社会から求められていると思います。

(River)

2012年8月17日金曜日

 13日(月),3週間にわたったNARASIA未来塾から戻ってきました。夏合宿に参加できなかったことには忸怩たるものがありますが,それはそれで充実した日々を送ることができました。

 日・中・韓・越の4国から38名が参加し,「東アジアの可能性」をキーワードに,学び,議論し,発表してきました。失礼ながら参加するまでは,私の勉強不足から存じ上げない先生方が多かったのですが,後から考えますとすばらしい先生方ばかりで驚きました。貴重な機会を与えていただいたことに感謝しています。

 内容は,地理,歴史,文化,社会,宗教,科学,産業,経済,金融,行政,国土計画,政治,外交ほか多岐にわたり,正直言いまして,各90分の講義と45分の質疑・討議では,いかほどのまとまった知識が得られたかは疑問です。しかし,今振り返って総括しますと,私の現在のテーマである空間と場の認識に収斂させることも可能で,これからの展開が楽しみです。未来塾からは,その視点をさまざまな分野から示してもらえました。

以上,とりあえず帰還報告まで。
(River)

 
 
 

2012年6月12日火曜日

関地連巡検


 今回は、6月3日に行われた関地連巡検について報告します。今年は奈良大が主幹校として執り行うこととなりました。

 前回の事前報告会で意見・アドバイスを受けたことで、よりよいものとなった内容を他大学のみなさんに発表させていただきました。

 今回の巡検での発表内容は・・・
・近鉄奈良駅とその周辺街の景観の変化
・JR奈良駅と周辺地域の景観変化
・奈良盆地の水文的成因
・春日断層と扇状地からみた猿沢池の立地
・法律から見る奈良公園
・奈良公園の植生
・奈良公園のシカ
とのことになりました。

 今回の巡検には、立命館大学、追手門大学、京都大学の関地連のメンバーが参加して行われ、総勢約30人となかなかの規模でした。参加していただいた皆様には感謝の言葉を送りたいと思います。

 さて、巡検の中身について報告したいと思います。巡検のルートは・・・
近鉄奈良駅→JR奈良駅→ならまち周辺散策→猿沢池→奈良市写真美術館→奈良公園→近鉄奈良駅
と、なりました。

 各地点で担当者の発表がおこなわれ、各部員が自身の調べたことをみなさんに一生懸命に伝えていました。かくいう私も、担当していた奈良公園について参加された人たちに伝わるように、不器用ながらも精一杯やらせていただきました。

 ここで巡検の発表の一部を紹介させていただきます。
 扇状地地形を考察した猿沢池の立地
 春日山と高円山の谷から流れる能登川の形成する扇状地地形が猿沢池の関係から見ると、東海自然歩道に沿って流れる能登川が山地から出てすぐに二つに分かれ白毫寺町方面と春日大社方面に分かれる。地形図から、等高線と能登川を意識して見ると扇状になっていることが確認できる。
 猿沢池に本題を移すと、池の位置としては扇端であるが、扇端は地層の粒子が比較的密になっていることから湧水地になる。土地利用としては水が得られやすいことから集落立地の大きな要因となっている。
 以上がごく一部ではありますが、関地連巡検の発表紹介とさせていただきます。お詫びとしては、上に記してあるのはレジュメからの引用なので、巡検の発表と異なる部分があります。
 (三回生 T)

2012年5月28日月曜日

予算折衝

5月18日、会計にとってはつらい予算折衝が行われました。今年度の各団体の活動予算についてのお話し合いなのですが、部員はなかなか乗り気ではありませんでしたね(笑)毎年、深夜帯の時間まで続くので終わった頃には、みなさん意気消沈しています(汗)
私たちは会議には出席はしない立場なので、BOXで待機して出席していた人たちのために、差し入れなどの準備をして終わるのを待っていました。
結果は、3:43に終わり、開始から約9時間となかなかの長時間となりました。今年も無事に終わることができたことに感謝を申し上げたいと思います。         (三回生 T)

2012年5月25日金曜日

関地連巡検事前報告会

今回は来月、6月3日にある関地連巡検の事前報告会が行われました。事前に報告会が設けられたのは、巡検をより良いものとするため部員も力が入っていました。発表内容としては・・・
・奈良盆地と水文(仮題)
・春日断層と扇状地から見た猿沢池の立地(仮題)
・JR奈良駅(仮題)
・近鉄奈良駅とその周辺街の景観の変化
・法律から見る奈良公園
・奈良公園の植生
・奈良公園のシカ
と、報告が行われることになりました。
 今年は私たち奈良大学地理学研究会が主幹校となりました。そのため、巡検は奈良まちを中心になります。今回の報告会では、はじめに述べたように、事前に行うことで巡検をより良くすることを目的としています。報告する中で、部員同士の意見交換や的確なアドバイスなどがあり、関地連では素晴らしい発表ができることを期待しています。
 私は今回の報告では、奈良公園の植生についてすることになりました。普段は歴史的分野から報告していたのですが、初めて植生をすることとなり、少なからず緊張と不安があります。なので、植生を主として研究を進めている先輩にアドバイスをもらいつつ、取り組ませていただいています。
 新しいことに挑戦していくことは、自身の知識の幅を広げていくと共に、周りの人にも得た情報を与えることで、地理研の発展につながることだと思われます。     (三回生 T)

2012年5月18日金曜日

新入生地元紹介

5月16日水曜日、新入生が地理学研究会の一員として活動に参加することとなる、地元紹介が行われることになりました。新入生としては、初めてのことなので緊張したことだと思われます。私も地元紹介をした時は、緊張のし過ぎでガチガチの状態で頭が真っ白になるほどでした。それに比べて、今年の紹介は年を重ねていくごとにレベルが上がっているように思えます。
今年の地元紹介では、
①広島県安芸高田市
②大阪府八尾市
③山形県東根市
④宮城県石巻市
の4箇所の発表が行われました。

①の人については、残念ながら体調不良のため次週に変更となりましたが、全員しっかりと自分の地元の魅力を私たちに紹介してくれました。一人一人のクオリティが高いため、今後の研究・活動に期待で胸が踊ります。
大まかなことばかりで、実際の内容についての説明がなく申し訳ないとは思いますが、以上で新入生地元紹介の報告を終わりたいと思います。
それではこれからも、地理学研究会の活動にご期待下さい。 (三回生 T)

2012年4月20日金曜日

新歓巡検



新入生歓迎の時期も終わり一段落着いたところで、いよいよ新年度のちりけん初巡検である新歓巡検が行われました。今年は新入生も数人入り、ひと安心と言ったところだと思われます。

さて、今回は新歓巡検について報告します。今年は奈良まちをテーマに巡検を執り行うこととなりました。主な経路は西大寺駅前から出発→平城宮跡→法華寺→海龍王寺→東向き商店街→猿沢池→興福寺→東大寺となりました。各地点では担当者による説明がもうけられ、新入生・現役生に奈良について一部ではありますが親しみを持ってもらえるようにしてまいりました。新入生にとっては初巡検となる今回は、私たちの活動を知ってもらえたことだと思われます。

巡検の中身についてですが、私が担当した興福寺を説明させていただきます。

興福寺は南都七大寺の中で最も奈良の街とつながりを持ちながら発展した寺になります。和銅三年(710)藤原不比等が飛鳥から平城京へ前身の厩坂寺(うまやさかでら)を移転したもので、藤原氏の氏寺(氏族の氏上・族長が自身あるいは一族の現世安穏と故人の菩提を祈るために建立した寺)として、藤原一族の隆盛とともに寺勢を拡大した。また、神仏習合の影響も受け、春日大社と一体化し、時には僧兵を従えて朝廷へ強訴に及ぶまでになりました。

治承四年(1180)源平の争乱の際に平家に焼き討ちされ、ほとんどのお堂が焼失しますが、鎌倉時代に移り変わってからすぐに再建されました。現在の堂塔は、鎌倉以降の建物を一部残し、広い境内に中金堂・東金堂・北円堂・南円堂・五重塔・三重塔・大湯屋・大御堂・国宝館などが建て並び、仏教彫刻類は天平時代(8世紀初~8世紀末)や鎌倉時代の名品を数多く保存しています。

今回の新歓巡検では、歴史的分野に偏りがちなものが多くありましたが、それも知識の幅を広げていくこととして見ていこうかと思います。私のように歴史的分野を専門とした人間が地理を踏まえて研究していくことは、なかなか難しいことも多いですが、その分やりがいがあると思います。

これから、一年間私たち地理学研究会をよろしくお願いします。(三回生 T)