春合宿に参加してきました。と言いましても,私は個人的な都合で皆より一日早く入島し,二日間だけの短い巡検になってしまいました。それでも二日目の早朝には坂手港で皆を迎えることができ,少しは責任を果たせたかと思っています。
さて,コメントはさて置き,取り急ぎ,印象に残った風景をいくつかアップします。
主な巡検ルート(Yahoo地図Japan(ZWNRIN)から引用) |
写真1は坂手港に入港するジャンボフェリーのようすです。最上階のデッキに立っている5名が我々のメンバーです。この瞬間がこれから始まる年間調査の本格的なスタートになりますので,毎年のことですが,ちょっと身震いするような気持ちのいい緊張感が走る瞬間です。
写真1.神戸三宮(01:00)-高松―小豆島坂手(07:10)便のジャンボフェリー |
一昨年,われわれが高松で合宿を張ったとき,備讃諸島で瀬戸内海国際芸術祭が開かれていましたが,今年もまるで我々を待っていたかのように芸術祭が開かれます(写真2)。一昨年は30万人の見込み観光客だったところに95万人の参加者があり,2匹目のドジョウではないですが,大きな期待が集まっています。
写真2. タラップを降りる部員たちを迎える『瀬戸内国際芸術祭2013』の垂幕 |
私は仮のテーマを5つ持って参加しました。その1つが小豆島で最も有名な地場産業である醤油の醸造です。写真3は苗羽(のうま)地区の俯瞰です。あの有名なマルキン醤油は小豆島にあったんですね。企業城下町といっても差し支えないでしょう。町中が醤油の香りに包まれていました。醤油大好き人間の私にはたまりません。
写真3.丸金(マルキン)醤油の工場と苗羽地区のようす |
2つ目は,1974年と1976年に襲われた豪雨災害のその後のようすです。小豆島全体ではこの2つの災害で68名の犠牲者が出てしまいました。今回は1976年に大きな被害を出した橘地区を訪れました。現在のようすが写真4です。
写真4. 橘地区の復興住宅群と千羽岳 |
ちなみに上流の砂防ダムのようすも見てきました。ブッシュをかき分けてダムの基部を確認していますと,たまたま通りかかった小豆島町の職員の方が不審に思われたのか,声をかけていただくことができ,現場を前にして興味深い話を聞くことができました。その詳しい内容は報告書に回します。ダムは3基確認でき(写真5),小さな堰堤は数えられないほどありました。
写真5. 最下流の砂防ダムと千羽岳 |
3つ目は,寒霞渓周辺です。ここは観光(写真6)もありますが,地形・地質面からと植生の垂直分布(写真7)について注意を払いながら巡りました。
写真6. 美しの原高原からみた寒霞渓の風景 |
一点不思議なのは,伝法川の源流水が白濁していたことです。これは夏にぜひ調べてみようと思っています。
写真7. 伝法川流域(中山地区)の山腹の垂直植生分布 |
4つ目は棚田100選(写真8)に選ばれている中山地区の土地利用と水利です。ここには農村歌舞伎の演舞場(写真9)がありました。また,弘法大師由来の湯舟寺という名水100選に選ばれた源泉をもつ寺がありました。
農村歌舞伎と棚田と水信仰との強いつながりを感じました。
写真8. 棚田100選に選ばれた中山地区の棚田のようす |
ここには昭和天皇が行幸されたそうでして,写真右側の建物に天皇が玉座された椅子が保存されていました。
写真9. 中山地区の農村歌舞伎演舞場 |
最後は冒頭に記した瀬戸内芸術祭です。この芸術祭には決まった会場というのはありませんので,島全体が会場となります。ちなみに棚田の中山地区では写真10のようなモニュメントが建設中でしたし,坂手港では写真11のような壁画を見ることができました。
写真10. 瀬戸内国際芸術祭にエントリーされた竹を使ったオブジェ(製作中) |
写真11. 新築されている坂手港施設の壁画 |
本当はもう一つ,もっとも大切なテーマを持っているんですが,それを紹介しだすとキリがありませんのでカットです。
以上で紹介を終わります。(River)
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