さて『岳』ですが,評価は分かれるのではないでしょうか。公開中の映画ですのでストーリーは控えますが,私は泣けました。(ただし,年を歳を取るにつれ極度に涙もろくなっている事情を差っ引く必要があります)。
反面,岩や雪を少しでもかじった人間には,まどろっこしいところや不自然なところが目につき,映像に入り込むことが難しく感じました。(導入(解説)や誇張は,商業フィルムの避けて通れない儀式のようなものとして理解する必要があります)。
いずれにしましても,山岳救助隊は私にとってあこがれの職業の一つですが,それは天地がひっくり返っても無理な話です。映画でも強調されるように,登山に命を懸けるアマチュアの「山屋」と,遭難救助に使命感を燃やす「山のプロ」とは容姿・技量は同じでも全く違った括りです。厳密には重複する場合もありますが,山に限らずどのような分野にでも当てはまりそうです。
話がまとまりませんが,映画の中で「爆弾」の単語が出てきました。懐かしいのと,地理に直結する言葉ですのでおさらいをしました。(というか,大型の低気圧くらいの知識しか持っていなかったので慌てて調べたというのが正しいのですが・・)。
図1.日本アルプスの緯度を北緯36°と仮定して描いた 爆弾低気圧の定義を示す図 |
要は,急速に発達した温帯低気圧を総称する言葉らしく,24時間で変化した中心気圧の変化が次式で得られる⊿Pより大きくなる低気圧を爆弾低気圧というらしい。
⊿P=24×sinΦ/sin60° ・・・①
①式を理解しやすくするために右図を描いてみたが,要は,基準の緯度を60°(北緯でも南緯でも同じ)にとり,対象低気圧の中心緯度Φでのa1と基準点でのa0との比を意味している。このため,①式は
⊿P=24×a1/a0 ・・・②
と置きかえることができる。
と,ここまでは数式だけのことで機械的だが,肝心の物理的な意味がよくわからない。たとえば,なぜ基準緯度が60°なのか,また,なぜ,24時間なのか。温帯低気圧なので通常30~40°が対象エリアだが,なぜシベリア寒気団エリアの60°が基準となるのか,などなど,気象についての不勉強が祟り,考えれば」考えるほどに意味が分からなくなってしまう。
この疑問はなるべく早急に理解したいと思います。映画から逸脱しましたが地理研のブログですのでご了解ください。 River
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